『睡園』
今回の展示のテーマは “多数の焦点” です。
風呂場でふやけた指の皮を剥ぐ
ささくれた指先を、気づいたら無心になって皮を剥いていることがあります。
そんな時、視界がだんだん狭く、黒くなって 私が無くなる。
指の皮を剥くことと、冷蔵庫の中の食材を上手く活用して無くしていくことや掃除することと、刺繍糸を使って布の隙間を埋め尽くすことは似ているなと思います。
きれいにしたい。
空っぽにしたい。
無をつくりたい。と、
気づくと思っています。
無心でつくった今回の作品は、観る角度によって姿が変わります。
日常、世の中の全ての出来事や物も色々な角度からみてみると、星の数ほどの色、形、感情から成り立っています。
本当とか、真実とか、好きとか、幸せとか
あるようで、どんどん変わります。
それを私もみんなも求めて、生活します。
最後はだんだん狭くなって、暗闇になって、みんな一つの無になるんだと思います。
この作品をみて、わたしやあなたの、毎日の生活で狭くなってしまいそうな視界に新たな角度からの光を当ててもらえたら、幸いです。
photo/新津保 建秀